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2024.08.24 - Sat

ボルトの強度区分について

こんにちは。

岐阜市と各務原市の機械設計事務所、(株)アティックワークスの山本です。

今回は、機械設計においてもっとも基礎的で重要な要素の一つである「ボルトの強度区分の基礎」についてです。

ボルトは最もよく使用される機械要素なので、その知識がなければ機械設計という仕事において何もできないと言っても過言ではありません。

しっかり理解しておきましょう。

 

■ボルトの強度区分とは?

ボルトの強度区分とは、ボルトが持つ強度を表す規格のことです。JIS規格では、一般的に10.9や8.8といった数値で示されます。

これらの数値は、ボルトの引張強度と降伏強度を表しており、ボルトの材質や製造方法によって異なります。

 

■強度区分の数字は何を示しているか?

強度区分は二つの数字で構成されています。例えば、8.8のボルトは以下のように解釈されます。

最初の数字は、ボルトの最小引張強度の100分の1を示します。この場合、8 × 100 = 800 MPaの引張強度を持ちます。

2つ目の数字は、引張強度に対する降伏強度の割合を示します。この場合、降伏強度は800 × 0.8 = 640 MPaとなります。

 

■各強度区分の特性は?

4.6:一般的な用途に使用される低強度のボルトです。低負荷の接合部に適しています。

8.8:中強度のボルトで、広範囲に使用されます。機械や構造物の主要部分に適しています。

10.9:高強度のボルトで、重要な機械部品や高負荷がかかる部分に使用されます。

12.9:最高強度のボルトで、極めて高い負荷がかかる特殊な用途に使用されます。

 

■ボルトの選定基準は?

ボルトを選定する際には、以下の基準を考慮する必要があります。

負荷条件:ボルトが受ける最大負荷を考慮し、その負荷に耐えられる強度区分を選定します。

環境条件:使用環境に応じて、腐食や高温に対する耐性を持つボルトを選定します。

安全係数:設計上の安全を確保するため、負荷条件に対して適切な安全係数を適用します。

母材条件:タップがきってある母材や被締結物の材質強度が弱い場合、それらに合わせた強さのボルトを選定します。

 

■実際の使用例

例えば、産業機械の設計においては、8.8や10.9の高強度ボルトが使用されることが多いです。

これらは、機械の主要な接合部や高負荷がかかる部分での使用が一般的です。また、橋梁や高層ビルの建設では、12.9のボルトが使用されることもあります。

ただし、いかなる場合も適切な締め付けトルクで使用する事が必要です。そうでなければボルトの強度を100%発揮する事はできません。

また高トルクでは、とても強い軸力が発生しますから、軸力による座面への負荷も考慮する必要があります。

 

■ボルトの管理とメンテナンス

ボルトの管理も非常に重要です。定期的な点検を行い、緩みや損傷がないかを確認することが必要です。

また、適切なトルクで締め付けることも重要です。トルク管理を怠ると、ボルトの強度を十分に発揮できず、機械の安全性が損なわれる可能性があります。

とくに重要な締結部においては後にトルクレンチでトルクの管理ができる間取りでの設計がされていないと、メンテナンスができないという事になるので注意が必要です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ボルトの強度区分について理解することは、機械設計という仕事の最初のスタートラインとも言えます。

必ず理解しておきましょう。

以上、ボルトの強度区分についてでした。

次回もお楽しみに。

 

機械設計事務所

株式会社アティックワークス 山本謙志

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