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平行ピンとテーパーピンの使い分けについて | 株式会社アティックワークス 平行ピンとテーパーピンの使い分けについて | 株式会社アティックワークス

2024.07.22 - Mon

平行ピンとテーパーピンの使い分けについて

こんにちは。
岐阜市と各務原市の機械設計事務所、(株)アティックワークスの山本です。
今回は、機械設計における重要な要素の一つである平行ピンとテーパーピンについてです。それぞれのピンには特有の利点と使用方法があり、適切に使い分けることが設計の精度と効率に直結します。本記事では、平行ピンとテーパーピンの基本的な特徴、用途、選定基準について詳しく解説します。

■平行ピンの特徴
構造と材料
平行ピンはその名の通り、直径が一定で平行な円柱状のピンです。一般的に高硬度の炭素鋼やステンレス鋼が使用され、耐摩耗性と耐久性に優れています。
使用場面
平行ピンは、部品の位置決めや固定に多く使用されます。例えば、シャフトとギアを同軸に保つために使われることが多く、分解可能な接続が求められる場合に適しています。平行ピンは摩耗しにくく、長期間安定した位置決めが可能です。
利点と注意点
平行ピンの最大の利点は、挿入が容易で、再利用が可能な点です。しかし、過剰な力で打ち込むとピンが変形し、取り外しが困難になることがあります。また、振動や衝撃によってピンが緩む可能性もあるため、注意が必要です。

■テーパーピンの特徴
構造と材料
テーパーピンは、一端が太く、他端に向かって徐々に細くなる円錐状のピンです。高硬度の材料が使用されることが多く、その形状から自動的に位置決めが行われる特徴があります。
使用場面
テーパーピンは、非常に高い精度での位置決めが求められる場面に使用されます。例えば、治具や金型の位置決め、機械の組み立て工程での正確な位置合わせに利用されます。ピンが自己保持能力を持つため、振動や衝撃に強く、確実な固定が可能です。また分解再組立て時の再現性が求められる場合に使用します。
利点と注意点
テーパーピンは高精度な位置決めが可能で、振動による緩みが少ないため、長期的な安定性が求められる場合に適しています。しかし、挿入や取り外しには専用の工具が必要であり、最悪の場合は抜き取り時にピンを破壊がする必要がある場合もあります。また組み立てには結合される部品同士を重ね合わせた共加工が必要でありコストが掛かります。

■平行ピンとテーパーピンの選定基準
使用目的による選定
平行ピンとテーパーピンの選定は、使用目的によって異なります。再利用性が高く、簡単に取り外しが可能な固定が求められる場合には平行ピンが適しています。一方、より高精度で長期的な固定が必要な場合や、振動による緩みが懸念される場合、また再組立てによる再現性が求められる場合にはテーパーピンが適しています。またより高精度を求める場合にはテーパーピンが適しています。テーパー形状である為、リーマ穴とピンの間に隙間が発生したり、リーマ穴の仕上がりが若干楕円形状に仕上がっていても2点は必ず接触する為、確実に位置を出す事ができます。
挿入・取り外しの容易さ
平行ピンは挿入・取り外しが簡単で、工具を必要としない場合が多いです。対して、テーパーピンは高精度な固定が可能ですが、専用の工具と技術が必要です。
振動や衝撃への対応
振動や衝撃による緩みを避けたい場合、テーパーピンの方が適しています。自己保持能力が高いため、機械の安定性を維持することが可能です。

■具体的な使用例
平行ピンの使用例
工作機械のシャフト位置決め
部品の仮固定
簡易な治具の組み立て
テーパーピンの使用例
金型の位置決め
高精度な治具の位置合わせ
機械部品の長期的な固定

まとめ
今回は平行ピンとテーパーピンについての情報をお届けしましたがいかがでしたでしょうか。
今後も、専門的で実践的な情報をお届けしていきますので、お楽しみに。

機械設計事務所
株式会社アティックワークス 山本謙志

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